花の名前などろくすっぽわからない。
こいつは雑草なのかどうかさえもようわからん。
種を蒔いて、大事に大事に育てられたわけでもなければ、
誰かが待ちわびていたり、金銭的な価値をつけられることもない。
世の中に腐るほど、飽きるほど、はいて捨てるほど生えとるかもしれない。
雑草という括りでくくられるかもしれない。
誰かが勝手に作った枠や尺度の中で。
それでもこういった場所に、
自分がどんな分類なのか?雑草なのか?
なんてことはおかまいなしに、ただただ当たり前のようにそこに生えておる。
そんなコイツになんとなく、なんとなく微笑んでしまう。
力強く根をはっとるんでしょう。
望まれもしないのにようがんばるねーと。
タフなんやろーなーと。
人間の都合で作られたような「雑草魂」なんて言葉もこいつらには関係もなく。
雑草だからの魂でもなんでもなく、こいつらはこいつらの生き様がここにあるんでしょう。
自分もこの店も、多分そんなようなもんで、
ド根性でも雑草魂でもない。
雑草であろう当の本人にはそんな意識は全くもってないわけで、
ただただ俺らが、この店が、ここにこうあるというだけのこと。
みんながみんな知っているような花が咲くでもなく、
すばらしい鉢やみんなの目に留まるような場所に生えとるわけでもない。
気づかれることもなければ、もてはやされることもないのかもしれない。
当たり前のようにここに生え、根を伸ばし、葉を伸ばす中で、
ときに誰かの目に留まり、微笑みかけられたりするような店。
それもまた一つの店の在り方だと思うのです。